Contents
大型車メーカー4社のモデルチェンジ
日本のトラックのメーカーといえば、日野自動車、いすゞ自動車、三菱ふそうトラック・バス、UDトラックスです。
トラックメーカーもひと昔前から大分様変わりしました。今や民族系メーカー(日本のメーカー)は日野自動車といすゞ自動車の2社だけです。三菱ふそうはドイツのダイムラー・ベンツの子会社であり、UDトラックスはスウェーデンのボルボグループの傘下に入りました。
2017年は大型トラックの新車発表のラッシュとなりました。
何故かというと、「ポストポスト新長期」と言われる排ガス規制への対応のためです。この規制は2017年9月から生産される車への規制で、待ったなしの対応が迫られていました。
これは現行規制(ポスト新長期)に比べるとNOxを約43%削減するという厳しい内容です。
この規制をクリアする為にフルモデルチェンジが必要になりました。
さらにもう1点、大型トラックに課せられたテーマに「安全装備の新基準」がある。これは「先進ブレーキシステム(AEBS)フェーズ2」と呼ばれるもので、2019年11月から強化が予定されている。そのひとつの基準として、「自車速度が80㎞/hのとき10㎞/hで走行中の前方車両に衝突せずに停止させる」という規定があります。
積み荷を含めた車両総重量が25tにも達する大型トラックを緊急ブレーキで停止させるには、自動ブレーキの再開発が必用でした。
各社新型車両の安全装置は?
運送会社として最近のトラックで気になるのが車両の安全装置です。
新型車の安全装置として基本的なものは、
① 衝突回避軽減支援機能 (プリクラッシュブレーキ:衝突回避のブレーキ作動)
② 車間距離自動制御 (オートクルーズ時の車間距離保持機能)
③ 車両安定制御機能 (横滑り等のスリップ抑制)
④ 車間距離警報 (車間距離により警報)
⑤ 走行車線はみだし警報 (車線の逸脱警報)
⑥ 車両ふらつき警報 (高速道路走行時のふらつき気泡)
⑦ わき見・居眠り警報 (ドライバーのわき見運転と居眠り運転感知機能)
大まかにこれら7つの装置が各社の新型車にあります。
新型プロフィア~日野自動車~
大型トラックのシェアでトップの日野自動車です。
「社長、こいつに乗せてくれ」というテレビCMですね。
14年ぶりのフルモデルチェンジです。
まずは室内、運転席。乗用車的です。茶色で統一されたインテリア色はシックです。そして非常にドライバ―に高評価なのが新開発の高機能シートです。合皮にファブリックを組み合わせた豪華仕様で、減衰力を調整できるタイプです。非常に乗り心地がいいそうです。
基本安全装置①~⑦はすべて装備しています。特に⑦のわき見・居眠り警報は日野プロフィアと三菱ふそうスーパーグレートだけの装備で特筆ものです。
この装備はドライバ―モニターといい時速60km/h以上で作動します。高速道路を使用した長距離運行などで効果を発揮します。
新型プロフィアを当社では積極的に導入しています。
新型クオン~UDトラックス~
UDトラックスのクオンは13年ぶりのフルモデルチェンジ。旧型は車両重量が他社に比べて重かったが、新型は総輪ディスクブレーキ導入などにより約200㎏の軽量化をしている。重量物を運送している当社としてはこの200㎏が非常に大きいです。
国産大型トラックでは唯一となるディスクブレーキは、踏み込んだときの制動力が良いようです。さらに4段階のリターダーが装備されてブレーキ関係は安心です。
また当社では各社の大型車を使用していますが、UDの大型車のAT(オートマ)が一番性能が良く、使用し易いとドライバ―の評判です。
キャビンのデザインは旧型と変わらずの感じです。ハンドル回りのスイッチ類が使いやすくなりました。
新型ギガ~いすゞ自動車~
いすゞ自動車の大型トラック「ギガ」の登場は2015年10月ですが、2017年4月にマイナーチェンジされました。
運転席のハンドル回りのスイッチ類の取り扱いが非常に良くなったそうです。
これは各社そうですが、スイッチパネルがラウンド状になり、ドライバ―の身体がすっぽり入るコックピットのような感覚です。
また、シートはドライバーの体型や好みにあわせた、細かな設定が可能で、快適です。
運転席シートが、長距離・長時間運行でのドライバーの運転疲労を大幅に軽減しそうですね。
新型スーパーグレート~三菱ふそう~
最後に三菱ふそうのスーパーグレートが納車になりました。
外観はヘッドライトが大きくなったような気がします。内装は相変わらず、良い質感ですね。
三菱ふそうのフルモデルチェンジしたスーパーグレートは、新型AMT「S h i f t P i l o t 」 により実現が可能となった先進の安全機能を搭載。
運転手の状態をカメラで認識することによって居眠り運転などの予防に貢献するアクティブ・アテンション・アシストを装備しました。この装備は日野プロフィアにも装備されています。
そして、左折時の巻き込み事故やレーンチェンジ時の危険性を抑制する、アクティブ・サイドガード・アシスト。左折巻き込み時の事故防止機能は他社の安全装置には無い画期的な装備です。
左折時や左方向への車線変更時に、車両が通過する範囲を予測し、範囲内にあるものを検出。危険を感知すると、助手席ピラーに設置されたランプと警報音で注意を促します。ただしセンサーがサイドバンパーのところにあるので、足掛け厳禁ですね。
オートクルーズを進化させたプロキシミティー・コントロール・アシスト。 車間距離保持機能付オートクルーズに自動停止、自動発進機能をプラスした最先端装置です。
プロキシミティ・コントロール・アシストをONにして、走行すると、その後はアクセル、ブレーキは一切操作せず、先行車が減速すれば、こちらも減速。先行車が停止すれば、こちらも停止する。
特に高速道路の渋滞時などに効果的で、先行車に合わせて一時停止と発進を自動的に行いますので、追突を抑制します。ストップ&ゴーの負担も軽くなり、疲労軽減にもつながります。
4社の大型車両が納車になりました
当社で新型車両を積極的に投入しているのは、安全装置が充実してきているのと、ドライバ―の負担軽減(運転しやすい車両)を求めてのことです。
トラックメーカー4社全社の新型車両を導入するのは当社としては珍しいことです。
より安全で扱いやすい車両を求めてのことです。
安全面とドライバーアシストの面で今回のモデルチェンジは、三菱ふそうスーパーグレートが一番かと思われます。
今後経営者側が見ていきたいのは、整備と修理の面でランニングコストが一番なのはどの車両か?ということです。長く使用して行く上で、非常に重要なポイントですね。