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働くこと、楽しむこと
人生において働くということは、お金を稼ぐという基本的な理由があります。
そして働くということに費やす時間はその人の一生涯の全時間のうちの大きな部分を占めます。
自分のために働く、家族のために働く、その他様々な理由で人は働きます。
働くこと、仕事をすることが楽しいもの、やりがいがあるものであれば、こんなに幸せなことはないと思います。
欧米人にとって労働とは『罰』
欧米人にとって労働は『神から与えられた罰』と言われます。
それは聖書に書かれています。
蛇にそそのかされたアダムといヴが、神の教えに背いて自らの意志で禁断の果実を食べた。そして神からその理由を問われた二人がどちらも他者のせいにして、悔い改める機会を逃してしまった。
これが神の怒りに触れてエデンの園を追放され、それ以降、人間は自分たちが食べるものは自分たちでつくらなければいけなくなった。という内容です。キリスト教では、これを人間が持って生まれた『原罪』としています。仕事は持って生まれた罪に対する罰という教えです。ということは、労働は分かりやすくいえば『懲役』なのですね。
キリスト教が発祥した中東地域はほとんど砂漠ですから、厳しい労働をしなければ食料を確保できなかったのですね。『原罪』というくらいの教えを叩き込まなければ、人は厳しい労働に耐えられなかったのかもしれません。
当たり前ですが、誰でも『懲役』は逃れたいものです。
1年のうち11か月の罰(労働)に耐えれば、その先に1か月のバカンスが待っているのです。欧米人はそんな考え方でしょうか。
日本人にとって働くことは『生きがい』
日本人には昔から『仕事は懲役である。』という発想はありあません。むしろ働くことが『生きがい』で人間らしい生き方であり、仕事があるのは幸せということが伝統的な考え方でした。
松下幸之助さんが言ったように、仕事はそれ自体が社会貢献であり、事業を継続することもまた社会貢献という考え方ですね。
この考え方は、私たち昭和生まれの人間には理解できるかもしれませんが、現代の若者たちにはどうでしょうか?
若手に労働の価値観を教える
日本人は昔から、労働を『お金を得る手段』とは考えず、『生きがい』と考えて気ました。最終的には金銭を得るのですが、それは結果であって、目的ではないと考えました。
なぜ『生きがい』なのか。私たち日本人は『世のため。人のため。』を非常に大切にしますよね。
平成23年の3月11日に起こった東日本大震災でも、被災地の方々は黙々とお互いのルールを守って、協力しあう姿がありました。日本人も感動しましたが、世界中が驚いたそうですね。
そのようなDNAが日本人にはあるのです。きっと誰にもあります。
欧米思想で『拝金主義』『裕福になるのは美徳』的な考え方が、日本でも一般的になりつつあるのかも知れません。巷には『成功哲学』の類の書籍は沢山あります。お金持ちになる方法論です。
まずは『衣食足りて礼節を知る。』でしょ。と言われそうですが、私は『衣食足りずとも礼節だけはけがさない』生き方をしてきた私たちの親たちを忘れないで、生きたいと思っています。
『お金持ちが必ずしも幸せではない。』とか、『貧乏でも幸せ。』なんてことを言うつもりはありません。お金はあった方がいいに決まってます。
マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツは『Windows』の成功で大富豪になりました。52歳でリタイアしましたが、大富豪になった後で『自分は世界一の金持ちなのになぜ幸せではないのか。』と悩んだそうです。それで後に世界最大の慈善基金団体の『ビル&メリンダ・ゲイツ財団』をつくったのですね。
かたや日本では80歳以上で現役で働く方々は一杯いますし、日本人はその方々を『うらやましい』と思える発想があります。
『労働=お金』だけではなく『労働=生きがい』の両方を若者達に教えられたら、最高だといつも思っています。